国際協力プロジェクト

JICA 南スーダン国 スポーツを通じた平和促進プロジェクト

分野 平和構築
事業形態 技術協力
期間 2021年10月から2025年1月まで
事業の背景

第6回NUD開会式の様子。各州の旗を掲げながら入場行進を行った。

1950年代から続く紛争を経て、南スーダンは2011年7月にスーダンから独立を果たしました。しかし、独立後も国内の権力闘争を背景にした民族間の対立が継続的に発生しており、南スーダンが平和を実現し、独立国として安定した発展を遂げるためには、民族間融和を通じた包摂的な社会の形成が不可欠となっています。

 

JICAはスポーツを通じた融和と平和促進を目的として、全国スポーツ大会「国民結束の日」(NUD: National Unity Day)の開催支援を行い、若年層を中心とした国民間の融和を進めてきました。若年層に対し、スポーツを通じた平和促進を更に推し進めるために、学校やスポーツクラブ/アカデミーへの活動支援や、資金的・技術的な支援を受けるためのスポーツ競技団体や国際機関・NGO等と青年・スポーツ省の連携体制の構築が必要とされています。

 

本プロジェクトでは、NUDの開催を継続的に支援するとともに、学校やスポーツクラブ/アカデミーを対象としたパイロット事業の実施や、関係団体との連携強化を図ったプラットフォームの構築等に取り組んでいます。

 


基本方針

本プロジェクトでは、スポーツを通じた平和促進活動を推進するため下記基本方針を軸として活動を行っています。

 

1.幅広い関係者を巻き込んだパイロット事業の実施

学校やスポーツクラブにおけるスポーツ選手だけでなく、その周りで彼(女)らを支える人々を巻き込んでパイロット事業を計画・実施し、スポーツを通じた平和促進活動を推進するためのネットワークの強化を図っています。

 

2.地方活動への支援

ジュバ市だけでなく、他州の関係者に向けた研修やワークショップを通して、スポーツを通じた融和の機会を地方にも創出することを目指します。

 

3.開発パートナーとの連携強化

国際機関・ドナーやNGO・民間企業からの資金動員を得るメカニズムを構築し、本プロジェクト終了後の持続的な平和促進活動の実施につなげていきます。

 


主な活動

大会中盤の「Peace Day」では、レクリエーションスポーツを通じて選手間の交流促進を図った

本プロジェクトでは、①NUDの継続開催支援、②学校・スポーツクラブ/アカデミーを対象とした草の根レベルの支援、③開発パートナーとの連携体制構築を中心に活動を行っています。

 

NUDの開催に当たっては、各州から関係者を招いた会合を開催し、その中で選手選考の基準等を確認するなど、男女や民族の違いに依らず、より平等で包摂的な大会が開催されるよう話し合いが行われます。また、政府職員が各州に訪問し、選手選考が適切に行われているかモニタリングするなど、公正・公平な大会づくりを目指しています。

 

大会期間中もワークショップやレクリエーションスポーツ等を通して他州出身の選手との交流を促進し、相互理解を深める取り組みを行っています。

 

また、NUDの参加選手だけでなく、より幅広い人々を対象にスポーツを通じた平和促進活動を行うため、本プロジェクトでは学校や地域のスポーツクラブ/アカデミーなど草の根レベルの活動にも取り組んでいます。

 

2022年6-7月に行われた学校・スポーツアカデミー現況調査の結果を元に、地域に根差したパイロット事業を関係者とともに計画・実施することで、NUDでは対象とならないようなスポーツ選手や彼(女)らを支える人々にも平和促進効果を波及させていく予定です。

 

上記活動には多額の資金が必要となりますが、南スーダンの財政は厳しい状況にあり、政府が資金のすべてを賄うことは現実的ではありません。このような状況から、資金動員ならびに人材等の動員(資源動員)を行い、それらの資金・資源の調整・差配を行うことを目的とする新たなプラットフォームの構築もしくは既存のプラットフォームの活用について検討を行っています。また、NUDや草の根レベルの活動の持続性を高めるため、プロジェクトでは様々な開発パートナーや民間企業との議論を続けています。

 

(2022年11月現在) 

 

第6回NUD開催期間中に実施した平和促進ワークショップの様子

スポーツアカデミー(サッカー)関係者への聞き取り調査

開発パートナーや民間企業関係者を招待し開催したパートナーシップフォーラム

~JICAのWebサイトでの紹介~

 

→『ODA見える化サイト』はこちら(外部リンク)

→『~スポーツで平和を促進!~ 南スーダン国スポーツ関係者14名が学校体育やスポーツクラブの地域振興について学びました!』(2022年11月4日)はこちら(外部リンク)